不動産の相続・贈与の税金と手続きを徹底解説|2026年最新版
不動産の相続税・贈与税の計算方法、節税対策、手続きフロー、2026年の制度変更を詳しく解説。相続登記義務化への対応も含めわかりやすく説明します。
不動産を相続したら、「どんな手続きが必要か」「どのくらい税金がかかるのか」「節税できないか」——こうした疑問は多くの方が持っています。
2024年4月に相続登記義務化が施行されるなど、制度が大きく変わっています。本記事では、不動産相続・贈与の税金、手続き、節税対策を詳しく解説します。
不動産相続の基本
相続とは何か
相続とは、被相続人(故人)が所有していた財産が、法定相続人に受け継がれるプロセスです。
不動産は相続財産の中でも、固定資産税評価額が高い場合が多く、相続税の対象になりやすいため、事前の対策が重要です。
法定相続人の順位
相続人の順位は法律で決まっています。
| 順位 | 相続人 | 相続割合(配偶者がいない場合) |
|---|---|---|
| 第1順位 | 子ども | 1/2(複数の場合は均等) |
| 第2順位 | 親 | 1/3(複数の場合は均等) |
| 第3順位 | 兄弟姉妹 | 1/4(複数の場合は均等) |
配偶者がいる場合、配偶者と上記の相続人で分けます。
例:被相続人に配偶者と子ども1人がいる場合
- 配偶者:1/2
- 子ども:1/2
不動産相続の税金
相続税とは
相続税は、被相続人から受け継いだ財産(相続財産)に対して課される税金です。
すべての相続に相続税がかかるわけではなく、相続財産の合計が「基礎控除額」を超える場合だけ課税されます。
基礎控除額(2026年現在)
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
例:配偶者と子ども2人(法定相続人3人)の場合
- 基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円
- 相続財産が4,800万円以下なら、相続税はかからない
相続税率
相続財産が基礎控除額を超える場合、以下の税率で相続税が計算されます。
| 課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | 0円 |
| 1,000~3,000万円 | 15% | 50万円 |
| 3,000~5,000万円 | 20% | 200万円 |
| 5,000~1億円 | 30% | 500万円 |
| 1億~2億円 | 40% | 1,700万円 |
| 2億~3億円 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円以上 | 50% | 4,200万円 |
相続税計算の例
ケース:配偶者と子ども1人(法定相続人2人)が、相続財産1億円を相続
-
基礎控除額の計算
- 3,000万円 + 600万円 × 2 = 4,200万円
-
課税遺産総額
- 1億円 - 4,200万円 = 5,800万円
-
各相続人の課税価格(法定相続分で按分)
- 配偶者:5,800万円 × 1/2 = 2,900万円
- 子ども:5,800万円 × 1/2 = 2,900万円
-
相続税の計算
- 配偶者:2,900万円 × 20% - 200万円 = 380万円
- 子ども:2,900万円 × 20% - 200万円 = 380万円
- 合計相続税:760万円
配偶者には「配偶者控除」(課税遺産の1/2まで非課税)が適用されるため、実際の納税額はさらに低くなります。
相続税の節税対策
対策1:相続財産を減らす
相続税の基本は「相続財産を少なくする」ことです。
生前贈与を活用する
- 毎年1人あたり110万円までの贈与は非課税
- 複数の人に贈与することで、効率的に相続財産を減らせる
例)親が子ども3人と配偶者に毎年110万円ずつ贈与
- 年間贈与額:110万円 × 4人 = 440万円
- 10年間で4,400万円を相続財産外に移動できる
対策2:配偶者控除を活用
配偶者が相続する場合、以下の額まで相続税がかかりません。
配偶者控除額 = 課税遺産総額の1/2 または 1億6,000万円のいずれか大きい方
相続財産が多い場合、配偶者に多く相続させることで、相続税を大幅に削減できます。
対策3:不動産の小規模宅地等特例
被相続人が住んでいた土地(宅地)について、評価額を最大80%減額できる制度です。
適用条件
- 被相続人の自宅の土地
- 相続人が引き続き住む、または10年以上保有する予定
例)相続土地の評価額が5,000万円の場合
- 通常:5,000万円 × 課税対象
- 特例適用:5,000万円 × 20% = 1,000万円が課税対象
- 節税効果:4,000万円相当
この制度は非常に有効なため、必ず確認しましょう。
対策4:生前一括贈与
相続前に相続人に不動産を贈与する方法です。ただし、贈与には「贈与税」がかかります。
相続税 vs 贈与税
- 相続税:最大50%
- 贈与税:最大55%
税率だけ見ると贈与が有利に見えませんが、相続前の数年間にわたって少額ずつ贈与することで、トータルの税負担を減らせます。
対策5:不動産の有効活用
相続財産の中に低利用の土地がある場合、アパート・マンション経営に転換することで、相続税評価額を削減できます。
- 更地:100%評価
- 貸地(駐車場など):80~90%評価
- 建付地(アパート建設):50~70%評価
相続前にアパートを建設すると、相続税を大幅に減らせます。
不動産相続の手続きフロー
ステップ1:相続の開始と遺言確認(相続開始から14日以内)
被相続人が亡くなったら、以下の手続きが必要です。
- 死亡届の提出(市役所)
- 遺言書の確認(あれば)
- 相続人の確定(戸籍謄本を取得)
2024年4月からの変更:相続登記義務化
- 相続開始から3年以内に相続登記が義務化された
- 登記しないと10万円以下の過料の対象
ステップ2:相続財産の調査(相続開始から3ヶ月以内)
相続人全員で、相続財産の内容を調査します。
調査対象
- 不動産(土地・建物)
- 預貯金
- 株式などの有価証券
- 負債(住宅ローンなど)
不動産については、「固定資産税評価証明書」を取得して、評価額を確認します。
ステップ3:遺産分割協議(相続開始から3ヶ月以内)
相続人全員で「誰がどの財産を相続するか」を話し合い、「遺産分割協議書」にまとめます。
遺産分割協議書の内容
- 被相続人の氏名・死亡日
- 相続人全員の署名・捺印
- 各相続人が取得する財産
この協議書がないと、相続登記ができません。
ステップ4:相続税申告(相続開始から10ヶ月以内)
相続財産が基礎控除額を超える場合、税務署に相続税申告書を提出します。
申告に必要な書類
- 相続税申告書
- 遺産分割協議書
- 相続財産の評価資料(不動産評価額など)
- 被相続人の戸籍謄本
- 相続人の身分証明書
申告期限を超えると、加算税が課されるため、期限厳守が重要です。
ステップ5:相続登記(相続開始から3年以内)
司法書士に依頼して、不動産の所有権を相続人の名義に変更します。
手続きの流れ
- 司法書士に相続登記を依頼(費用:2~5万円程度)
- 必要書類の収集(戸籍謄本、遺産分割協議書など)
- 登記申請書の作成
- 法務局に申請
- 相続登記完了(通常1~2週間)
重要:2024年4月から相続登記が義務化されたため、3年以内に必ず実施してください。
ステップ6:固定資産税の変更手続き
相続登記完了後、市役所に「固定資産税納税義務者変更届」を提出します。
次の納税通知書は、新しい相続人の名義で届きます。
不動産贈与の税金と手続き
贈与税とは
生きている間に、親が子に不動産を譲り渡す場合、贈与税がかかります。
贈与税の基本
贈与税 = (贈与財産 - 110万円)× 税率
毎年1人あたり110万円までの贈与は、贈与税がかかりません。これを「暦年贈与」と言います。
贈与税率
| 課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 110万円超~200万円 | 10% | 10万円 |
| 200万円超~300万円 | 15% | 25万円 |
| 300万円超~400万円 | 20% | 65万円 |
| 400万円超~600万円 | 30% | 125万円 |
| 600万円超~1,000万円 | 40% | 225万円 |
| 1,000万円超 | 50% | 425万円 |
不動産贈与の計算例
ケース:親が3,000万円の不動産を子に贈与する場合
-
贈与税の計算
- 課税価格:3,000万円 - 110万円 = 2,890万円
- 贈与税:2,890万円 × 40% - 225万円 = 931万円
-
登記費用(司法書士費用)
- 登録免許税:3,000万円 × 2% = 60万円
- 司法書士費用:5~10万円
-
合計費用:約1,006万円
贈与税は高額なため、毎年110万円ずつ長期間かけて贈与することが一般的です。
相続時精算課税制度
相続前に子に贈与し、相続時に相続税で調整する制度です。
特徴
- 贈与時の贈与税率は一律20%(固定)
- 相続時に相続税で精算
- 累計2,500万円まで非課税
この制度を使うと、贈与税を20%に抑えられるため、高額な不動産贈与に適しています。
相続・贈与時の注意点
注意点1:遺言書がある場合
遺言書がある場合、遺産分割協議ではなく、遺言に従って相続します。
遺言に不満がある場合でも、「遺留分請求権」の範囲内でのみ、異議を唱えられます。
注意点2:相続税申告漏れは重課対象
相続財産の申告漏れが見つかると、通常の相続税に加えて**加算税(最大40%)**が課されます。
正確な申告が非常に重要です。
注意点3:相続登記義務化のタイムリミット
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。
- 施行日前の相続:2027年3月31日までに登記すれば大丈夫
- 施行日以降の相続:相続開始から3年以内に登記
期限を過ぎると10万円以下の過料の対象になります。
注意点4:空き家化と固定資産税
相続後に不動産を放置して空き家化した場合、「空き家対策特別措置法」の対象になり、固定資産税が6倍に増加することがあります。
相続後は、早期に「住む・売る・貸す」いずれかの判断をしましょう。
よくある質問
Q1:親が健在なうちに相続対策はできる?
できます。生前贈与や不動産の有効活用により、相続税を大幅に削減できます。早めの対策ほど効果的です。
Q2:複数の相続人がいる場合、不動産を分割するには?
以下の方法があります:
- 現物分割:不動産をA相続人、預貯金をB相続人というように分ける
- 換価分割:不動産を売却して、売却代金を分配
- 代償分割:不動産を一人が相続し、他の相続人に現金を支払う
Q3:借地権や借家権の相続は?
借地権・借家権も相続財産です。ただし、所有権より評価額は低くなります(通常、所有権の60~70%)。
Q4:相続税を支払う現金がない場合は?
以下の制度を活用できます:
- 延納:相続税を分割して支払う(利息あり)
- 物納:不動産などで納税する(通常は不動産)
税務署に相談しましょう。
まとめ
不動産の相続・贈与は、事前の対策次第で税負担が大きく変わります。
対策チェックリスト
- 相続財産の合計額を把握した
- 基礎控除額以上の相続財産があるか確認した
- 小規模宅地等特例の対象になるか確認した
- 生前贈与で相続税を減らす計画を立てた
- 遺言書を作成した
- 司法書士・税理士に相談した
不動産相場ナビで相続予定物件の評価額を把握し、早めに専門家に相談することをお勧めします。対策は早いほど効果的です。
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